今回レビューする作品は『光が死んだ夏』著者:モクモクれん(初巻発行日・2022年)
5巻まで発売しており、現在も連載中の作品です。(2024年11月)
『このマンガがすごい! 2023』オトコ部門1位を獲得した本作品。
前情報一切なく、表紙の雰囲気に惹かれて試し読みをしてみたところ
「これは間違いなく面白い」と確信し、電子書籍で即購入しました。(後に布教するために紙でも購入するくらいハマってます)
登場人物の心理描写や、謎をはらんだストーリー展開にひきこまれます!
ジャンルでいうとホラーかな?…と思ってたんですが、作者のモクモクれん先生曰く『青春ホラー』だそうです。
実際のところ、掲載誌で考えると青年漫画ですが本屋やサイトによっては色んなジャンルに振り分けられてるみたいですね
— モクモクれん (@mokmok_len) June 4, 2023
説明する時はとりあえず自分が描きたい内容と一番ニュアンスの近い「青春ホラー」と言ってます! https://t.co/mge5moo6sE
※ホラー描写はそこまで過激ではないですが、絵柄のテイストがリアルなので苦手な方は注意です。
- 青春ホラー
- 高校生
- 田舎
- ストーリー重視
- 陰鬱とした雰囲気
- BL?
電子書籍を少しでもお得に買いたい方は、こちらの記事も読んでみてください。
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作品紹介
あらすじ
田舎の集落で暮らす同級生の光とよしき。
一見普通の高校生のようだけど光の中には得体のしれない“ナニカ“がいる…。
その“ナニカ“に気付いていながらも光のそばに居たいよしき。
時を同じくして集落で不可解な事件が起こり始める。
その異変に気付いたある女性がよしきに近づき
「あんた物凄くヤバいもんの近くにおるから…このままやと『混ざる』で」と告げる。
光の中にいる“ナニカ“とは━━。
※以下、ネタバレありの内容になります
↓1・2・3巻の内容をざっくり↓
1巻…光が死んだ代わりに光の中にいる“ナニカ“。そのことを知りながらも何事もないように日常を送るよしきだが、得体のしれない“ナニカ“と、このままそばにいてはいけないという葛藤を抱えている。「本物の光じゃない」とよしきに拒絶された“ナニカ“は自分の感情が抑えきれず…
2巻…感情が暴走した“ナニカ“だったが、自我を取り戻して大事には至らなかった。よしきは“ナニカ“に対して情のようなものを感じ始める。村に起こり始めている異変に対応するべく村の秘密を知りうる住民たちも水面下で動き出す。
3巻…平穏な日々を送っているように思えた“ナニカ“(=ヒカル)とよしきだったが、クラスメイトである朝子にヒカルの正体がバレそうになり、秘密を守るためヒカルが朝子に手をかけようする。よしきに止められ、大事には至らなかったがヒカルをこのままにしてはいけないと思ったよしきは、ヒカルを殺そうとするが失敗してしまう。ヒカルの中にいる“ナニカ“とは何なのか、2人は謎を調べるために動き始める。
4巻…謎解き編。村の謎に迫るふたりが『ノウヌキ様』という祟り神にたどりつく。ノウヌキ様について村の人に話を聞きに回っている最中、村の事を調べに来ている田中と接触する。
5巻…ヒカル=ノウヌキ様なのでは?という仮説に辿り着いたふたり。ヒカルの自我が保てず暴走することが起こり、よしきも危機感を感じ始める。しかし、離れたくないと思っているため、ヒカルの居場所を作るための方法を探す。ヒカルはヒカルでよしきに危害を加えるんじゃないかという恐怖から「山に戻る」ことを宣言するが、よしきに反対される。
光が死んだ夏のここが魅力
謎をはらんだストーリー
夏、集落、学校、怪奇現象…キャラのセリフの間や、背景に描かれている擬音なども相まって全体的に陰鬱なオーラが漂っています。
モクモクれん先生のリアルテイストな雰囲気の絵柄もホラーにマッチしてる!
かと思えば、よしきや光の日常のやり取りに「ふふっ」となる場面もあったりして、本筋とのギャップで何とも奇妙な感覚になる作品です(そこが癖になる)。
幼馴染の光が死んで、代わりに現れた光の姿をした“ナニカ“
“ナニカ“が光の中に住み着き始めたことで村に不可解な事件が起こり始め、集落の一部の人間が対処するために動き始めます。
“ナニカ“は人々にとって悪なのか?助けてくれる存在なのか?
この先、どんな終着点を迎えるのか目が離せません!
BLのようにも感じられる2人の関係性
この作品は女性マンガに分類されるんですが、2人の間にある感情が『友情』じゃないように感じられる描写が多々あるんです。
よしきの「光、俺のこと好きか?」という問いかけに対して
光「めっちゃ 好き」と返すんですけど
その「めっちゃ 好き」はライクの好きじゃないでしょ!ラブのほうだよね?!って表情なんですよ…。
BL風味を感じる描写が多々!
目に見えてわかりやすい恋愛的描写がないからこそ余計に2人の発言の意味を考えてしまって
これ、友情じゃなくて恋愛感情なのでは??!と想像を駆り立てられます。(楽しい)
“ナニカ“を受け入れるべきか拒絶するべきか…判断ができないでいるよしき。
よしき自身もこれ以上ニセモノのヒカルと関わるのは危ないというのはわかってるんですが、光が死んでしまった、という事実を受け入れられずに
“ニセモノでもいいからそばにいてほしい“もう二度と失いたくないという気持ちがあるんです。
光と過ごした過去の回想シーンがよくでてくるんですが、記憶の中の光とよしきがいつも楽しそうで切ない…。
複雑な心理描写がしっかりと描かれていて、よしきの迷いや、苦しさが伝わってきます。
ヒカルもヒカルで“よしきに嫌われたくない、そばにいたい“という思いがあり、感情が抑えられず暴走してしまったあと
「もうあんなことしないから 嫌いにならないで」と泣いてすがります。
その姿をみたよしきは「なんだか可哀想だ」という気持ちになり、自分が導いてやらなければという信念を持ち始めるんです。
追記:3巻を読んだ感想【ネタバレあり】
2023年6月2日に発売された3巻。早速読みました!
3巻のハイライト
- 村人が集落で起きている異変に対処するために外部から「田中」という人物を呼んだ。
- ヒカルがクラスメイトの朝子に正体がバレそうになり、殺そうとしたところをよしきに止められた。
- よしきがヒカルを殺そうとしたけど失敗し、2人でヒカルは何者なのか調べることになった。
初登場人物「田中」は、集落の謎について詳しい様子。3巻ではまだ村の秘密をしるもの達としか絡みはなかったけど、これからヒカルやよしきに接触していくのかな~という感じ。
どう絡んでいくのか展開が楽しみ!
そして、気になるのがヒカルとよしきの関係性の変化や進展の部分。
ヒカルのことを「何もわからないだけ。自分が導いてあげなければ」と思ってたよしきがヒカルが村人を殺めていたという事実を知り、「ヒカルはここにいてはいけない存在なのかもしれない」という考えに至ります。
ヒカルのことを殺そうとして、でも殺せなくて…逆に「死なんのやったら、殺してくれ」とヒカルに頼むよしき。
よしきの懇願にヒカルはパニックになるんですが「よしきのことは特別で殺したくない」という気持ちから、自分の半分をよしきに差し出して“簡単に人を殺せない状態“になることで命を軽くみないことを示しました。
1・2巻ではよしき視点で物語が進んでいくことが多かったように思うんですが、3巻ではヒカルの思考が多く語られていた印象。
よしきにとって光が特別なように、ヒカルにとってもよしきは特別な存在なんだと改めて認識できました。
ヒカルは何者なのかを調べることにした2人の行きつく先はどんな未来なのか…気になります。
追記:4巻を読んだ感想【ネタバレあり】
1~3巻が『日常編』で4巻~は『謎解き編』になるようです。
前巻までのヒカルとよしきの心理的なやりとりというよりも、村の秘密や、ヒカルが何者なのか?を調べるストーリー展開。
また、ヒカルの中にいる“ナニカ“が町に降りてきてしまったためか、村中でおかしな事件や事故が起こり続け、よしきたちも襲われてしまうんです。
村中がおかしくなっている原因がヒカルであることに気が付くよしきたち。
ヒカルの居場所を守るためにもよしきは、ヒカルの正体について村の歴史を調べ始めます。
調べる中で『ノウヌキ様』という神様の存在を知って、ヒカルの先祖が「禁忌を犯したため、山にお参りするようになる」ということも分かります。
更にヒカルの中にいる“ナニカ“=ノウヌキ様なのか…?という仮説も現れるんです。
そして、3巻で登場した村の事を調べている田中という男と接触して、ヒカルが大変なことになって次巻へ…。
気になる終わり方!
謎解き編では、ヒカルの実家のことについてだったり、村の歴史だったりをいろんな人に話を聞きながら二人で調べていくって感じでした。
まだ確信部分には触れていないので、謎は謎のまま次巻へ…。
また、二人の関係性はあんまり進展(?)はなく、よしきが本物の光に抱いていた感情もヒカルに対しては「何もない」という風になってしまっているようです。(作中にそんな会話もありました)
お互いへの感情は、今回はあまり多く語られてないかんじ
ただ、お互いが相手に対して「離れがたい」「一人にしたくない」という感情はあるように感じられました。
追記:5巻を読んだ感想【ネタバレあり】
4巻以上に謎に迫る展開。
ヒカルの実家である忌堂家が山にお参りをしていた理由が少しづつ解明されます。
忌堂家が犯した禁忌とは、先祖の党首が死んだ妻を生き返らせるために「忌堂家の者以外の首を持って行っていいから、妻を蘇らせてほしい」という願いでした。
その願いが叶ったと同時に村では村人の怪死が続出し、ノウヌキ様は祟り神だということになってしまったんです。
また、ヒカルが4巻ラストで首を切られてしまい、そこから復活するも、自我を失い暴走するように。
このままではよしきに危害を加えてしまうかもしれないと感じたヒカルは「山に戻ろうと思う」と宣言するも、よしきはそれを止めます。
そしてまた田中が現れて「君はノウヌキ様じゃない」と言い放ち、次巻へ。
またラストで田中!!!
次巻ではヒカルの中にいる正体の秘密が解明されるのかな~と楽しみです。
まとめ
ホラー&BL(?)・陰鬱とした雰囲気で展開が読めないストーリーが好きな方におすすめの作品です。
アニメ化も決定したようなのでそれも見たいなと思います。
【『光が死んだ夏』アニメ化決定!!】
— 光が死んだ夏【公式】 (@hikarugashinda) May 24, 2024
いつも『光が死んだ夏』の応援ありがとうございます!
この度アニメ化が決定いたしました!!
現在鋭意制作中です!
6月4日発売の新刊5巻共々、『光が死んだ夏』をどうぞよろしくお願いいたします!#光が死んだ夏 pic.twitter.com/c2zdcMyMOG
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