今回レビューする作品は『60億分のふたり』著者:でん蔵(でんぞう)(初巻発行日・2022年)
表題作のみ1巻完結の作品です。
元いじめっ子だった攻めと元いじめられっ子の受けがとある能力を手いれてしまってから歪んだ関係に堕ちていくストーリー。
序盤から終盤までずーーっと暗いんですが、その暗さが癖になり、最後まで飽きずに読むことができました。
攻めの人格が崩壊していくにつれて受けもどんどん追い詰められていく…暗く重たい読後感が味わえます。
メリバ・ダウナー系が好きな人におすすめの作品です!
- 元いじめ加害者×元いじめられっ子
- 同級生
- 微ファンタジー
- メリバ・ダウナー系
- ストーリー重視
- 共依存
- 無理やり
本番を致している描写は一応ありますが、幸せオーラは一ミクロンもないので苦手な方は注意です。
作品紹介
あらすじ
いじめを苦に自殺しようとしたのに、死ねずに生き返ってしまった香藤。
そのうえ、傷がつかない強靭な肉体と『他人の心の声が聞こえる』という特殊能力まで手に入れてしまった。
自分がバケモノになってしまったような感覚に苦しんでいたとき、いじめの元凶となったカースト上位のクラスメイト・織田と偶然出会う。
自分がこんなにも苦しんでいるのに平然と日々を過ごしている織田に対して殺意が湧いたその瞬間━━━目の前で織田がトラックにはねられてしまう。
病室で目覚めた織田は、香藤と同じように『他人の心の声が聞こえる』ようになっていた。
そのことですっかり人間不信になってしまってしまった織田は、精神が追い詰められていく。
一方、香藤は自分のせいで織田が事故にあったのでないかと怯えていて、織田の様子を伺うために病院を訪れる。
そして2人は対面したときに“お互いの心の声は聞こえない“ということに気が付く。
その事実に織田はひどく安堵し、香藤に対して底知れぬ執着を示すようになるのだが、それが歪んだ関係の始まりだった。
登場人物
メインの登場人物はこの2人。
いつも無愛想で何事にも興味を抱けなかった元いじめ加害者の織田(攻め)といじめを原因を苦に自殺を計るも死ねずに生き返ってしまった香藤(受け)
【受け】香藤 清美(かとう きよみ)
- 地味
- 黒髪
- 引きこもり
- ネガティブ
- 平凡受け
【攻め】織田 伸勝(おだ のぶかつ)
- 金髪
- カースト上位
- 狂気
- 他人に興味がない
- 無愛想(香藤に対しては饒舌)
クラスメイトやお互いの母親が少しだけ登場しますがほぼこの2人のやりとりです。
『60億分のふたり』のここが面白い
『他人の心の声が聞こえる』という特殊な能力を手に入れる前までは、他人や物事に対して何も興味を持てなかった織田(攻め)。
ずっと冷めた感情で生きていたんですが、この能力のせいで周りの人たちがバケモノになったように感じてしまい精神的にどんどん追い詰められていきます。
うわべでは優しい言葉をかけてくれるクラスメイトが心の中では悪口を言っている、そんな状況だれだって精神的にキツイ…。
そんなとき、病室に現れたのが香藤(受け)。
香藤相手だと心の声が聞こえなくて「やっと普通の人間に会えた!」と安堵する織田。
そして、香藤も織田の心の声は聞こえない。お互いが他人の心の声が聞こえるという同じ能力を持ちながら、互いの心の声だけが聞こえない状況なんです。
ここから織田の香藤への狂気の執着が始まります。
心の声が聞こえないという理由で香藤のことを特別な存在だと認識しはじめた織田は、香藤と頻繁に会って遊ぶように。
そんな織田に対して香藤は「自分は織田を殺そうとしてしまった」という罪悪感から織田の誘いを断れない日々を過ごすんです。
でも香藤の内心には織田に対してずっと「お前のせいでいじめられた」「大嫌いなやつ」という嫌悪感や恨みがあるので、友達などと思えるはずもなく、仕方なく一緒にいるしかないという気持ち。
完全に織田→→→→→香藤の構図
物語中盤で織田から「他人の心の声が聞こえる」という秘密を打ち明けられた香藤は、自分も同じ能力があることを暴露。
しかも“織田のことを許さない“と思ったら、トラックが暴走した。と、今まで隠していた事実を告白します。
その告白に対して、なんと織田は恨むどころか
香藤が今までの自分のつまらなかった世界を壊してくれた。と感謝を表します。
自分の思っていた反応とは真逆な織田に困惑する香藤。
しかしその後、織田のことを“狂ってる“と思いながらも、ずっとそばにいてくれることに安心感を覚えるようになります。
どっちもお互いが特別だと思い込み、お互い以外に必要としてないし、されないと思ってる。
完全なる共依存。抜け出せない泥沼……!
初めてのときはただされるがままに犯されるだけだった香藤も、織田と同棲するようになり、身体を許すように。
2人だけの世界で幸せになってるようにも見えるけど、共依存しあってるだけで心の奥底には闇が渦巻いてる気もするし…これぞメリバというような終わり方です。
まとめ
狂っていく攻め、追い込まれて逃げ場がなくなる受け、メリバ・ダウナー系が好きな人におすすめの作品です!
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