今回レビューする作品は『エスケープジャーニー』著者:おげれつたなか(初巻発行日・2015年)
表題作のみ、3巻で完結の作品。
おげれつたなか先生の作品を読んだのはエスケープジャーニーが初めてだったんですが、あまりの衝撃にその後、おげれつたなか先生の全作品を読み漁りました。
ここからおげれつ沼にズブズブにハマった!!
この作品は心が鷲掴みにされるような切ない展開が多いんですが、最後にはちゃんとあたたかい気持ちになって終われるので安心です。
男同士で付き合うということへ正面から向き合っている内容なので、わりと微シリアスな場面がありますが、キャラ同士のやりとりは明るくて重たい空気感ではなく、エロもエロい!
ストーリー重視・心理描写多め、かつ、エロもちゃんとある作品が好きという方にオススメです。
- DDBL
- カミングアウト
- 微シリアス
- ストーリー重視
- 感動系
- ハピエン
- 本番あり
1巻で受けに対して攻めが無理やりする描写があるので地雷の人は注意です。
ただ、その後から攻めちゃんと反省するので…どうか読んでみてほしい!
作品紹介
登場人物
メインの登場人物はこの2人。
明るくて人懐っこい性格の直人(受け)と人見知りタイプの太一(攻め)。
【受け】久見 直人(ひさみ なおと)
- チャラい・明るい
- 人懐っこい
- メガネ
【攻め】羽瀬 太一(はせ たいち)
- イケメン
- 人見知り
- 嫉妬深い
メインの二人の他にお互いの家族や共通の女友達のミカりん・ふみ、2巻から登場する仁科など脇キャラとの絡みも多いです。
女の子キャラがめっちゃ良い子たち!!最高!
また、脇キャラとの絡みがストーリー展開に大きく関わっていきます。
あらすじ
高校のときに付き合っていたが、喧嘩別れをした太一と直人。
そこから一切接点は無かったけれど、同じ大学に入学していてそこからまた友人として関係がスタートする。
付き合う前の友達としてなら上手くいくのに、恋人という関係になると揉め事ばかり…。
同じことを繰り返さないために一定の距離をとろうと意識するものの、やはり惹かれてしまいう二人。
元サヤに戻ったが、やはり順風満帆とはいかず━━━
1~3巻のざっくり内容紹介
1巻・高校の同級生で一時期付き合っていた(後に破局してその後は関わりを切っていた)二人が大学で再会して復縁。でもまた上手くいかず距離を置くが、お互いに相手しか好きになれないと思い至って元サヤに戻る。
2巻・大学4年生になり、これまで順調に付き合ってきた二人だったけど将来の事を考え始める。周りへのカミングアウトをしたいと思う気持ちとそれで失うものがあるかもしれないという不安があって相手のことを思いやるがゆえの衝突が増える。直人のことが気になっている仁科という新キャラも登場して波乱が起こる。
3巻・大学内で二人が付き合っていることがバレる。悩んだ末に自分たちの両親には付き合っていることを告げる。自分たちだけが想い合っていればいいという考えを見つめなおし、行動に起こす。
『エスケープジャーニー』のここが好き
キャラの心理描写がリアル
まず、このCPは高校のとき付き合っていて一回別れて復縁してるんです。
友達同士だと上手くいくのに恋人になると喧嘩が増え、怒りで相手を傷つけるような発言をしてしまう。
お互い相思相愛なのに…。
攻めの太一は嫉妬心がつよくて直人が他の女の子と一緒にいるだけで独占欲が働いてしまい、荒っぽくなる場面もあります。
1巻で太一が直人を無理やり押し倒してしまう描写があってそれがまるでDVを感じさせるような雰囲気なんですが、この太一の荒れ方が“人間ってこういう一面あるよな“って感じられてリアルなんです。
普段は理性でセーブできてるけど、いったん頭に血が上ると乱暴になってしまう…冷静でいられない、人間の弱い部分をきっちり描き上げるおげれつたなか先生。
おげれつたなか先生は暴力表現をわりとしっかりめに描く印象(他作品でも結構あります)
また、2巻ででてくる仁科というキャラがふたりの仲を引っ掻き回すような行動をするんですが、その理由が切ないんです。
仁科はゲイなんですが、大好きだった彼氏に女の子と浮気された経験があり『ずっと一緒にいる』というような関係性を信じていません。
だから太一と直人に対しても「今はお互いのことしか見えてないで順調に付き合ってるかもしれないけど、それは今だけでいずれ壊れてしまう」って気持ちがあるんです。(過去の自分がそうであったように)
それに自分の描いた絵を好きだと言ってくれて、いつでも明るくて、彼氏に対して一途な直人に対して“直人みたない人が自分のことを好きになってくれたら…“って考えてしまって、二人の邪魔をしてしまいます。
仁科はいわゆる当て馬ポジになると思うんですけど、当て馬ポジって「メインCPのいい火付け役になってくれよな!」みたいな役回りになっちゃいがちですよね??
でも仁科の場合、ちゃんとそういう行動をとってしまう背景や心理描写がしっかり描かれているので“逆に応援したくなる当て馬“という展開が私の中で繰り広げられました。
仁科が幸せになる世界線が読みたくてしょうがないです。
とりあえず仁科幸せになってくれ!!!
BLの本質に向き合ったストーリー
この作品の大きなテーマは“男同士で付き合うことの終着点はどこか“。
同性同士というのは世間一般でいう“家庭を持って幸せに暮らす“ということが、難しい場面もある。
太一も直人もお互いそれを感じていて、初めは周りが理解してくれなくてもふたりがお互いを想い合っていればそれでいいと思っていたけど、やっぱり心のどこかでは周りに認めてほしいって思っていることに気づくんです。
そのために自分たちがするべきことは何なのか、きちんと向き合おうとするふたり。
その過程でお互いに相手のことを思うがゆえに関係がこじれていくけど、ちゃんとハピエン!!!
好きなシーン
学生になって復縁してでもまた上手くいかなくて、でも惹かれあってしまう…太一との関係性ってなんなんだろう、友達でも恋人でもないどんな名前なら上手くいくんだろうって直人は考えるんです。
直人が太一とどんな関係になりたいのか自問自答した末に「家族になりたかったんだ」って気づきます。
太一は、母親が不倫して離婚してしまった複雑な家庭環境で育ち、笑顔でただいまって言える家がなかった。
高校時代の直人は当時、その事実を知って太一の“帰る場所になりたかった“って思ってたんですよね。
この“帰る場所になりたかった“っていうの、深い情愛のようなものを感じられてすごくいい…。
家族になりたかったということに気づくと同時にそれは自分たちにとっては難しいことだという事実も同時に理解して涙を流す直人。
そのときの表情も最高なんです。おげれつたなか先生の画力が光りまくってます!!
そして紆余曲折あり、最後にはハピエンに辿り着くんですが、ラストで過去の太一と直人の思い出がフラッシュバックするシーンがあってその演出が最高なんです!
この演出~~!!!!ってひとり本を読みながら唸ってしまった(笑)
何度読んでも心を鷲掴みにされる作品です。
まとめ
男同士で付き合う事へ本気で向き合ったストーリーにしっかりとした心理描写が魅力の作品。
ちなみにここまでストーリーをメインに語ってましたがエロもしっかりあるし、結構エロいのでそちらも楽しみたい人にも間違いなく刺さる作品になっていると思います!
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